平成28年度補正革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金(ものづくり補助金)の公募が2017年1月17日締切をもって受付終了しました。
当事務所でも今回は7社程ご支援させていただきました。年末に募集が始まり年始に締切という大変な時期に、各事業者様も大変だったかと思います。
さて、年々競争が激しくなっている本補助金ですが、採択されるためのポイントは割とシンプルです。色んなレイヤーや切り口からの見方があるでしょうが、私なりの整理は以下です。
1.審査ポイントに答えている
- 募集要項に記載されている審査ポイントに対して全て答えている
先ずは、聞かれていることに対して答えること。これが基本です。
例えば、審査ポイントの一つである以下。
補助事業実施のための体制及び技術的能力が備わっているか
体制とは、社内体制・社外体制の双方を聞かれていると考えるのが妥当でしょう。簡単な図説と説明書きでもよいので、それらを示すことで質問の答えになります。
次に、技術的能力。例えば、新たな設備を導入するにあたり、本当にそれを使いこなせるのか?ということがここでは問われています。基本的には「人(知識やノウハウ)」に関わる何かしらの解が必要でしょう。解としては、「既存設備と操作の親和性が高く既存のノウハウが活かせる」や、「メーカーにて設備操作の研修済」といった内容を記載することで、いったんは質問の答えになるでしょう。
2.案件の内容が「誰が見ても」解る
審査員は経営に関する専門家等で構成されていますが、世の中の全業種について深い知識を持っているわけではありません。審査員の頭に「?」がつかないような丁寧かつ解りやすい記述が必要です。
例えば、以下。
- 利害関係者(登場人物)とそのニーズや役割が一目で理解できる
- 顧客は誰で、どんなニーズがあるのか
- 利害関係者(取引先、仕入先等)は誰で、役割は何か
- 誰が見ても解る言葉で記載されている
- 専門用語には補足説明、もしくは注釈を入れているか
なるべく図説や図表を使って、解りやすく表現することも望ましいです、
3.内容に裏付けがある/数値で示している
質問全てに対して、先ずは誰でも理解できる答えを記述することが基本ですが、その答えに「説得力」がないと、点数が下がる可能性が高いと考えます。その「説得力」ですが例えば、
- データの出所が記載されている
- 市場予測や収益計算等の算定方法に論理性がある
顧客ニーズで例えるなら、「昨今、顧客から要望が高まっている」だけだと弱いですが、「過去1年間の営業日報(出所)における要望シート(約300名分)を集計したところ、○人が○を要望していたことが解った」と書いてあることで、顧客ニーズの裏付けとなります。
出所やロジックなき示唆や傾向、数値を記述するリスクは、「審査員の主観で判断されてしまう」ことです。審査員は経営に関する一定の知識はあると思われますが、各業界のプロではありません。
自社の事業プランが、自社が属する業界のプロでもない審査員の主観で判断されてしまうこと程、つまらないことはありません。
逆にいうと、事実に基づいた論理性の高い内容には、審査員は否定できないということでもあります。
4.加点要素を極力多めに満たしている
平成28年度補正予算(2017年1月17日締切分)の公募より、以下の加点要素が加わりました。
昨今、ものづくり補助金の予算縮小や、申請者の内容も高度化してきたことにより、わずかな差が採択可否の決定要因になりつつありますので、加点要素は極力押さえておきたいところです。
これまで4点程ポイントを挙げてきました。当たり前のことばかりですが、不採択になる書類のほとんどはこの4点が満たされていないことが多く、逆に採択される書類は程度の差こそあれ、上記ポイントを必ず満たしています。
その他、内容審査にすら行きつかないミスを犯さないようにも注意するべきです。
一発アウトのケアレスミス(例)
- 経常利益率年率1%、付加価値同3%を達成していない
- 申請分類のチェック漏れ
- 必要な書類が製本されていない
- 補助事業を行う地域外の事務局に提出
- 補助事業対象経費の間違い
- 補助事業が何年計画か未記載
- 経常利益の計算が違う(営業外収益を含んだまま算出してしまっている)
以上、ものづくり補助金について少し触れさせていただきました。
ものづくり補助金に限らず、補助金の申請書類で問われるポイントは概ね上記に挙げた4点です。
これらを丁寧に仕上げていくことで、間違いなく採択率の向上に繋がります。
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